睡眠の真実人と社会を成長させる睡眠

睡眠は休息ではなく、人間にとって最もアクティブな時間!

質の良い睡眠によって、病気を予防できたり、脳の働きを良くし仕事の効率をあげたりすることができます。
睡眠は単なる休息の時間ではないのです。睡眠を正しく理解し、自分に合った眠りを手に入れましょう。

  • 人間は、眠っている間に成長する!

睡眠中の脳 - 人間の3つの能力は睡眠中に作られる

20世紀初頭までは、睡眠中には脳は休止していると考えられてきました。
しかし、現代では、睡眠中でも脳の約80%は活動していることが明らかになっています。
私たちが、仕事で活躍できるための脳の活動は、睡眠中に行なわれています。
脳は、より高いパフォーマンスを発揮させるために、必要に応じて、自身を積極的に眠らせています。
仕事で活躍できるためには、次の3つの能力が必要です。

1.身体能力 - コンディション

活躍されているビジネスマンやアスリートの方々は、からだのコンディションを整えることも仕事の一つという認識をもたれています。
皆さんも健康への高い意識をもっていると思います。
しかし、健康のために食事、運動に気をつけていても、睡眠を削ってしまうと、これらの効果は著しく低下してしまいます。

1.栄養を取る

トリプトファン+アルブミン

必須アミノ酸の トリプトファンは アルブミンと結合 している

2.睡眠をとる

インシュリン

睡眠によってインシュリンが分泌され、トリプトファンとアルブミンを切り離す。

睡眠が不足するとインシュリンの分泌が低下し、トリプトファンが脳に取り込まれなくなってしまう。

3.脳に栄養を与える

トリプトファンと脳

トリプトファンは、脳に取り込まれると、脳をしっかりと覚醒させ、気分を安定させる働きがあるセロトニンに変化するため、身体能力が十分に発揮されるわけです。
また、セロトニンはその後、脳を眠らせるメラトニンに変わります。
そのため、脳と身体の休息が十分にとれるようになり、身体能力を生かす理想的なスパイラルが出来上がるのです。

睡眠不足は、能力低下と成人病を引き起こす!

10~20歳代の健康な人を、6日間4時間睡眠にすると、インシュリンの分泌量が減り、血糖値は逆に上昇しています。糖尿病と肥満の危険性が高まることが示されています。

2.認知能力 - 記憶

誰でも、仕事の質を上げたい、効率よく段取りを組めるようになりたいという思いはあると思います。
これらを実現するためには、脳の中の情報が整理されている必要があります。
情報整理に不可欠な機能、それは記憶です。
記憶の定着と消去の作業は、睡眠中に行われています。
学習に使われた神経を除去することで、不要な記憶を消去し、必要な容量を確保しているのです。
記憶は、大きく分けて2種類に分かれます。
言葉に表せる記憶(単語の記憶など)と、言葉に表せない記憶(自転車の乗り方など)です。前者は宣言的記憶、後者は手続き的記憶と呼ばれます。

1.宣言的記憶(言葉に表せる記憶)

24対の単語を記憶させ、その後3時間眠らせるグループと、眠らずにいるグループでの記憶能力の違いについての実験が行われました。

3時間の睡眠をとったグループでは、32.4%の向上が見られました。

3時間眠らずにいたグループでは、16.5%の向上にとどまり、睡眠によって記憶が再学習されていることが示されています。

24対の単語リストを60%学習したところで、3時間後の再生テストをした実験では、3時間眠った群の方が、3時間起きていた群より成績が向上しています。

2.手続き的記憶(体が覚える記憶)

パソコンのタイピングのような動作を、12時間ごとに練習とテストを繰り返し、その間に眠らせて速度を 計測する実験が行われました。

起きていた12時間後の成績に比べ、眠った後の24時間後の成績の方が著しく向上した結果が得られています。

この結果、睡眠によって動作が上達することが分かります。

タイピング動作を使って、新しい動作の上達度合いと睡眠の関係を調べた実験で、睡眠をとった後、動作が上達することが示されました。

睡眠によって、言葉と動作の記憶が整理されると、脳の空き容量が増えます。それによって、細かいところに注意が向くようになり、記憶同士の連携がとりやすくなることで段取りよく仕事をすることができるようになります。

3.精神能力 - ストレス耐性

「ストレスで眠れない」という話をよく伺います。しかし、脳の働きでは、「眠れていないから、なんでもないことにストレスを感じてしまう」という表現が適切です。

睡眠が不足すると、大脳の働きが低下していきます。動物だと、この状態は捕食される危険性が高まります。そこで、感情を司る扁桃体(へんとうたい)の働きを活発にし、緊張した状態で敵を監視します。ヒトでも、これと同じ現象が起こります。普段は、何でもなく聞き流せたり、見過ごせるようなことに対して、落ち込んだりイライラしやすくなります。

扁桃体のすぐ後ろには、記憶を司る海馬(かいば)があります。扁桃体で起こった感情は記憶され、同じような状況になったら再び警戒する反応ができあがります。

このように、睡眠が不足することでストレスがつくられていくのです。

睡眠不足でも、その日の仕事をなんとか乗り切れると、不足していることを忘れてしまったり、その状態に慣れが生じてしまい、自分がどの程度睡眠不足なのか分からなくなってしまいます。

20歳代の学生を43年間追跡した研究では、睡眠になんらかの問題を抱えた人は、そうでない人に比べて、約18年後(40歳をむかえた頃)にうつ病の発症率が著しく高まることが示されました。

大学生1,045人を追跡調査した結果、睡眠の問題は数年~数十年後にうつ病として現れるということが示されました。

睡眠の質を高めることは、現在だけでなく、数年~数十年後も活躍していけるために重要だということです。